2017年4月25日火曜日

スペンサー・ウィギンズがやってきた![2] 雑感

スペンサー・ウィギンズ 続きます。

◆揺さぶられたもの[1] シンガー、スペンサー

私はいろんなものに、心を揺さぶられていた。

もちろん、まずはスペンサー・ウィギンズに。

思ったより声は出ていたが
老いは明らかだった。

それでもスペンサーは素晴らしかった。

ひとりのシンガーとして、責務を背負って立つ。
そんな凄みを感じた。

今の自分を、できることもできないことも
全て絞り出したような歌。

ゴールドワックス、フェイムに録音のチャンスを得ながら
結局、ヒットに恵まれることもなかった彼は
嫌気が差して歌うのを辞めたとか
行方不明になったという噂まであった。

近年マイアミのチャーチでゴスペルを歌っていることは
知られていたが、その間シンガーとして、
それ以上にひとりの人として
長い間、何を思い、どう過ごしてきたのか。

そうした人生が透けて見えるような歌であったからこそ
多くの人の心を揺さぶったのだと思う。

今回改めて感じたが、いい歌ばかり。
でも、運やタイミング、いろんなものを味方につけないと、
それだけでは売れないんですねえ。

でも・・・。
ほとんど更新されていないスペンサーの
facebookを見つけたんだけど
<以前の勤務先 singer>
って書いてあった!

以前の~というところをどう受け取るべきか複雑ですが
うれしいじゃないですか! Singerなんですよ!
Spencert Wigginsは!!

遠い日本まで来てくれて、本当にありがとう。

https://www.facebook.com/spencer.wiggins.5

◆揺さぶられたもの[2] お客さん

会場に集まった満員のお客さんたち。
関東圏以外から、平日にもかかわらず何人もの人が足を運んでいた。
挨拶こそしなかったが懐かしい人の顔も見かけた。

サザン・ソウルという名で一括りにするには
あまりに多彩な顔ぶれだ。

若い方もいたようだが、ほとんどの人は
GOLDWAXのあのレコードで
出会ったのだろう。

日本のサザン・ソウルの幕開け期を代表する一枚。
高校生から20代にかけて
無心でブラック・ミュージックを追いかけていた頃を
重ねた人も多かったのではないだろうか。

その延長上に、このスペンサー・ウィギンズの公演がある。

皆、年をとった。
順風満帆か、苦労の連続か
いずれにしてもいろいろなことがあっただろうが
こうして一つの所に集まっているのだ。

スペンサーの歌は40年の歳月を超えた。

そういう意味でまさに奇跡の来日だった。

世界に知られた大スターでなくても
スペンサー・ウィギンズは
音楽を聴いていた時間の中で
みんなにとって特別な存在なのである。


ヴィヴィドから最初のアルバムがリリースされたとき
私は高校生だった。
きっかけは、ホトケさんのブルーヘヴンが
カヴァーしていた“I'm Working Out On You”だ。

ヴィヴィドから言葉は悪いが、あの田舎のちょいワルが
カッコつけました、という雰囲気のアップ写真には
かなりインパクトがあった。

そしてその後、数年前の素晴らしいFAME集が
ダメ推しになったわけだが
この公演でますますスペンサーのアルバムは
大切な一枚になった。


今年の秋にはブラザーズでのロンドン、マンチェスター公演も
決まっているらしい。
最後の公演になるだろうと覚悟していたけれど
叶うなら、もう一度 出会いたい。













0 件のコメント:

コメントを投稿