2014年2月6日木曜日

木の芽どき前夜

蒲田から表参道、
代々木上原で途中下車して買い物。

どこにいてもさぶい。
さぶい。

さぶいが、陽の光にに、精気を感じるようになった。

むかし、あれは3月のあたまだったか。
取材で、多摩川に行き
よっこらしょと土手を上り
上に立ったら、座り込んでしまったことがあった。

春のエナジーにやられたのだ。

河川敷には、めりめりと音をたてて殻を破ったように
春があふれていた。

そして、あれは昨年だったか。
春先は、どうも具合が今ひとつ、というYくんに
「木の芽どき」
という言葉を教えた。

彼はとても納得しているようだった。


ところで知人の娘さんが、交通事故を起こしトラブったという。

私は車を運転しないので、保険の仕組みなどには疎いが
ちょっとネットで調べたら
被害者の立場から
いかにお金を取るか、いわゆるごね得のような話に
多くあたり、すっきりしない気持ちになる。


そんなことに加え
仕事で少し息苦しさを感じたこともあって
積極的に音楽を聞く。

グラディス・ナイト&ピップスのアルバム
『If I Were Your Woman』
を聞いていたら、右拳を握りしめること数回。
座りながら、拳を軽くあげて、身体を揺する。

リフトアップさせる歌声である。

グラディスは、モータウン。だと私は思っているのだが。







2014年2月5日水曜日

自転車みつかった


ポストをあけたら
カード会社の案内や
源泉徴収票の入ったレコード会社の封筒などに混じり
一枚のハガキが。

自転車保管所?

お、なんと、あなたの自転車を撤去して
預かっていますだと。

しか~し。

盗難届けを出した場合も
届け日より、撤去日が前の場合は
撤去および保管料3000円がかかるという。

なんで、なくなった私が払わんといけないの?

区のコールセンターへ電話する。

これは決まりなので・・・。
とりあえず最寄りの交番で
受理日と受理番号を聞いてくださいという。

納得いきません、と、毒づく私。

役所の仕事でいかに自転車撤去料に税金を使っているかは
聞いている。しかし、私は好んで放置したわけではないのである。

しかし、一晩たったら
買うより安いか、と闘う気持ちも薄れ、素直に取りに行く。

その前に電話した警察署では
撤去の状況等を聞いて、被害届を出した交番に話すよう言われたが
保管所の人はまったくそんなことご存じなかった。

一人のおじさんは、私の錆び付いたママチャリを
軽く磨いていくれたりしたが
プレハブにいたもう一人のおじさんは、無表情で
私からはがきと、3000円を受け取ると、小さなレシートをくれた。

ただ、それだけだった。

一日、高架下の誰がいつ来るともわからないプレハブにいたら
あんな表情になってしまうのだろうか。

まぁ、いいや。

やっぱり、いいね~自転車は、とのんきなことをいいながら
途中、中華屋でチャーハンを食べ
Yくんとジョン・ランディスの映画について語り
私だけ、近くの交番に行くことにする。

被害届の取り下げと
見つかりましたよ、とお礼も言おうと思ったのであった。

だが、これが。

被害届を取り下げるだけなのに、1時間近くもかかってしまった。

用紙の書き損じ計3回。

途中、書き方を所管に電話で確認しながら。


なにしろ
住所だって、ちゃんと東京都から書かねばならぬのだ。
そしてなぜだか所管の警視のお名前も書かねばならぬのだ。

ハンコは、カンタン印鑑ではダメだということなので
おまわりさんが用意してくれた朱肉に
左人差し指をつけ、力をこめて押す。

あぁ~~。

落胆するおまわりさん。

朱肉ではなく、黒インクでなければダメなのだそうだ。

ファンの回っている音で、眠みがこみあげてくる。
人が、ときどき交番をちらと見て通る。

何をしてここにいるんだろうと思うだろうな。

命に関わる被害、こすいことを考える人もいるようなので
書類一つとっても念には念をということなのだろう。

それにしてもこの事務処理は、である。


2014年2月4日火曜日

目に見えない未来

いかん、いかん。

1日、イベントに参加しただけなのに
なんだかだるい。

Mちゃんたちは3日間頑張っているのだ。

いかん、いかん。

日曜日、Facebookでイベントの様子を気にしつつ
原稿書きに励む。

どうにかこうにか、形になった。

DJセット欲しいなぁ。
アコギも。

月曜日、記事のためのネタ集めに励む。

サクラのころを思わせるほど暖かいので
散歩がてら、Yくんとシモキタまで所要およびランチ。

いつもふと気づくのだが
Yくんは、シモキタ育ちである。

彼にとっては下北沢が生まれ育った街、懐かしい街なのだ。

自慢してよいぞ、シモキタ育ち。

そして彼にとっては第2の故郷ともなり得る
覚醒したまちアリゾナを思い
メキシコ料理屋に入る。

Yくん、サーモンのブリート、
私、チキン、豚肉、エビとアボカドのタコス。

いわゆるメキシカンよりだいぶんオシャレな味付けだ。
テーブルの上においてあったマリーシャープスと、
香辛料をばさばさかける。

小松菜とレモンと何かをブレンドした
緑色した野菜ジュースがついてきて
お姉さんは「冷えにいいんですよ」と言った。

なかなか気の利いたことをと思ったが
誰にでも同じように声をかけているようだ。

男性はおおむね、苦笑いしている。

壁のスクリーンは、ファニア・オールスターズだ。
が、店内のBGMは、ファニアではない。

隣のカップル、男性のほうが
どこのラーメンが好きかと、女性に聞いている。
しつこめに。
次にカラオケで歌う歌を女性に聞いている。
一方的に。

Yくんから、アメリカ的発音、イギリス的発音のウンチクを聞く。

彼は先日Twitterで、目の覚めるような事を言っていた。

「どうせ突撃するなら目に見えない未来に向かっていきたいな。
もう見えてる何かを追いかけるのではなくて」

目に見えない未来。

私にもあるだろうか。
あるよな。


また歩いて帰る。

一仕事して夕方、近所の神社の豆まきを見学に行った。

神社に向かって、紙袋を持った親子が走って行く。
続いて、子どもシートに乗った子がやはり紙袋を持った自転車が
神社に向かって疾走していく。

そうか。
豆を袋で受けようというのだ。

いつからそれが習慣として伝播したのだろうか。

アナウンスされた時刻どおり神社に行ったが
最初は社殿での祭祀であった。

小さい神社なので、賽銭箱越しに見学する。

年男、年女が二手に分かれて座り
お祓いを受けたり、玉串を奉納したりしている。

と、枡を渡された男性が3人、賽銭箱の向こうから
外に向かって、「福は~うち、福は~うち」
とつぶやきながら、豆をまいた。

豆があたる。

意表をつかれた。

これは福豆であるから、吉としようか。

豆ふんづける。粉々になる。

よちよち歩きの子が拾って口に入れようし、たしなめられる。


さぁ、いよいよ豆まきだ。

肩車してもらい、待ち構えている男の子もいる。

こっち、こっちー。くださぁーい。

あちこちから伸びる手、伸びる紙袋。

福は~うち。

一点に群がる手、袋。

未来ではなく、今だけを見る手。

私とYくんは後方で見ていたが
その足もとにも、何かが転がってきた。

ボール状に包まれたチョコレートや、キャンディであった。

宙に舞うオレンジ色は、ミカンである。

大きな紙袋を差し出すほどの量はなかった。

福豆もなかった。

鬼もいなかった。

あっという間のできごとだった。




2014年2月3日月曜日

ジャパンブルワーズカップ参戦

11時前の電車で横浜へ。
ジャパンブルワーズカップ2日目だ。

Mちゃんと約束していたオリジナルTシャツ、結局できあがらず。
うちのプリンタは染料インクではなく
顔料インクだった。
プリントしてアイロンするだけだと
タカをくくっていたのが悪かった。
その旨メールすると、もっと早く伝えるようにと叱られる。

ごめんなさい。

日本大通り駅着。12時ちょっと前。
初めて降りる駅。
私はずっと日大大通りだと思っていたなぁと
改札でぼんやりしていると

「どこにいるの~、3番出口~~」
と、迎えに来たNびちゃんから電話。

またまた、ごめんなさい。

会場の大桟橋まで歩く。

広い空へ向かって歩いて行く感じ。

あぁ、海が近い。

古い建物を利用したレストラン、カフェなどがあり
ちらりとニューヨークのことを思い出す。

おぉ、海だ。海の匂いがする。

大さん橋は、国際旅客船のターミナルでもある。
くじらの形をしているとかで、
内部もアップダウンがある。
会場のホールはそのどんつきだ。
ステージの後ろの天井から床までいっぱいの窓からは
行き交う船が見える。

会場に着くと、各ブルワリーさんやスタッフの皆さんが
あわただしく準備中。
今日ライヴをする大久保初夏ちゃんたちのリハの音が聞こえる。

この始まる前の雰囲気、ぴんとしてて
それでいて熱が高まっていくムード、好きだなぁ。

Nびちゃんに教わって、DJブースで準備。

あっという間に開場だ。
コンビの若いお笑い芸人(この呼び名、いつもヘンだと思う)さんが
あわただしく開会の合図。
今日は、アイドルグループが出演するということもあって
オープンと同時になだれこんできた人が
ステージ前に陣取る。
一番前なのに、トリを撮るような長玉のレンズつけてる人がいたり。

MCの2人が思いがけず、1時間話してしまったので
NびちゃんのDJは控えめに。

続いてアイドルグループ登場。
待ってましたと、揃いのかけ声でヒートアップするお客さん。
大人系セクシー・ユニットだそうだ。
それぞれに黒いぴちぴちコスチュームから
むちむちの長い足。その先には赤いハイヒール。

アイドルといえば、フリフリのドレスを着て小首を傾げているイメージ
しかなくて、ごめんなさい。それって昔のアイドルだわ。

しかし、なんといっても、うぉい!うぉい!と
合いの手を入れながら、熱くなってる男性陣(何人か女性もいる)だ。

いいよ、いいよ~。

熱くなってる人、うれしそうな人の顔を脇から見るのは、本当に好き。

コンサートでも、ついつい廻りを見回してしまう。

裏返すと、我を忘れて、という姿勢には欠けるかもしれない。

さて、私のDJの番。
主催者の方が、ブルース特にハーモニカ系がお好きだとのことで
その類を持ってきたが
もっといろいろなのをかけてもOKな雰囲気だ。

『ルンバでブルース!マンボの時代』から多めに選曲。

レア盤をじっくりかけるDJ会とはまた違う
皆さんを楽しませるDJの楽しさに開眼。

ブルースが好きだと
ブースに声をかけてくださる方もいた。

前から欲しかったけど、DJセット、買うかな~。

ステージでは、アイドルとの握手会が行われている。
実を言うと、私も、整理券もらって
タレントの握手会とやらに参加したことがあるのだよ。

一段落して、ビールを買うついでに
会場の外に出てみた。

驚いた。

さっきは下の道から来たので気づかなかったが
なんて広い。
空も。逆光の中に浮かぶボードウォークも。

段々になったボードウォークを上がると
海を見晴らすことができた。

2月にしては暖かな日。

頭の上に、カモメだかが飛んでいる、ゆっくりと。

すべての人の動きも、ゆったりとしている。

うーん。ワンダフル。

予想外のワンダフルにとまどう。

ベイブリッジを見たり、船を見て、はしゃぐということもなかった。

それもまた大きな海の景色の中では必然だった。

とんとんとんと、またボードウォークの段々をおり
会場に戻る。

私にとっては、こっちがより現実だ。

ギタリスト大久保初夏ちゃんのブルース・トリオも大いに盛り上がった。
高飛車な言い方に聞こえるかもしれないが
腕を上げたなと思った。

渋さとか巧さはまだまだかもしれないが、ライヴ感がある。

若さでしか表現できない勢いがある。

ブルースマンだって皆、昔は若かったんだ。
ブルースってこういうもんがあっていいだろう。

そして初夏チャンは足が長い、髪の毛さらさら。
外見のことなど・・と言うかもしれないが
人前に立つ、のだから、外見、イメージは大事である。

そしてビールがだいぶ入っているとは言え
皆のうれしそうな顔。

いいよ、いいよー。

2度目のステージでは「プラウド・メアリー」のイントロに
本能的に反応。
キモチだけはアイケッツになりきって、踊り出す婦人部の面々。

ブルース系かけるチームなんて
日本にもなかなかいないよね、とMちゃんは言うが
確かに言われてみれば、そのとおりだ。

お声がかかれば伺いますよ。ダンサブルなブルースから
ちょっとせつないソウル・ミュージックまで。

祭りが終わり、表に出ると
先ほどのボードウォークも夜をまとっていた。

案内されて夜景を眺める。

東京ガイドをしていたころ、イルミネーションにしろ花火にしろ
いつもヨコハマのスケールにはかなわないと思っているところがあったが
やはり、それを思い知る。


とにかくパワーで圧倒するような東京の夜景と
お互いを認め合いながら、それぞれに輝く横浜の夜景。

デートスポットだそうである。

ふりかえれば、そもそも夜のデートにはほとんど縁がなかった。

夜といえば、ライヴ、であった。

ぶらぶら歩き、日本大通り駅でMちゃん、Nびちゃんと別れる。

帰りの電車に揺られていると
テンションが上がっていた反動か
身体は意外に疲れているなと気づいた。